ILO_Japan_Friends’s diary

ILO Japan Friends’ diary

国際労働機関(ILO)駐日事務所・インターンによるブログです。

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アフリカ協同組合スタディーツアー 9月7日 (大泉生協病院・賀川豊彦記念松沢資料館)


ILO日本生活協同組合連合会(JCCU、日本生協連)は、2010年よりアフリカの協同組合リーダーが日本の協同組合活動を学ぶ研修プログラムを毎年実施し、今年で10年目になります。

 

ILO創設100周年の今年、当研修プログラムも開催10回目 を迎え、9月5日(木)~ 9月14日(土)の期間、アフリカの協同組合関係組織の代表者5名を対象に東京、長野において研修を実施します。

 

今回は9月7日のスタディーツアーの内容をご紹介します!

 

午前中は協同組合形式で運営されている大泉生協病院の見学を行い、午後には協同組合運動の先駆者であり、「生協の父」とも呼ばれる賀川豊彦について学びました。

 

 

大泉生協病院見学

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講義の風景

 

大泉生協病院は東京保健生活協同組合という協同組合によって運営されています。組合員は医師や地域住民で構成されています。

では、通常の病院と異なり、協同組合の形式で運営されていることの特徴はどのようなものなのでしょうか?

 

最大の特徴は、組合員が病院の運営の意思決定に参加できるので、病院の民主的な運営が実現できるということです。

ほかの病院は非営利ではあっても地域住民や患者の声を反映できるわけではありません。しかし、協同組合形式を採ることで、地域住民が主体的となった運営が可能となります。

 

入院した際のベッドの使用料(差額ベッド)がかからないのも大きな特徴で、組合員からも好評になっています。

 

そして、究極の目標は「健康なまちづくり」をすることであり、組合員と共にヘルスプロモーション活動や保健・医療・介護のネットワークの強化に積極的に取り組んでいます。

カフェ、サロンなど高齢者の居場所づくりを行い、孤立することを防ぐといった活動も行っています。

 

病院の課題は?

 

組合員でなくても病院を受診できるため、患者の全てが組合員であるわけではありません。組合員の比率を7割以上にすることが目標ですが、現状ではまだそこには達していないそうです。

また、大規模な手術はできないため、他の医療機関とのさらなる連携強化が課題です。

差額ベッド代を取らないなど、組合員の利便性を追求しつつ、収支のバランスをとることの難しさもあるといいます。

 

 

講義のあとには、MRIや病院内の薬局など、様々な病院の設備も見学しました。

 

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寝たきりの場合などでも入りやすいような風呂の浴槽

 

東京保健生活協同組合大泉生協病院

http://www.ooizumi.net/index.shtml 

 

 

 

賀川豊彦記念松沢資料館見学

 

賀川豊彦とは?

日本の協同組合運動の先駆者で、「生協の父」「JA共済の父」とも称されます。

海外での評価も高く、ノーベル平和賞の候補にも挙げられました。

米国のワシントン大聖堂にはキング牧師と共に彫像が安置されています。

 

ちなみに、初代ILO事務局長アルベール・トーマは、1928年に来日した際に賀川豊彦と会談しています!

 

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佐々木聡先生による講義

賀川豊彦の活動は、神戸のスラムでの救貧活動から始まりました。彼の活動の基礎となるのは、キリスト教の精神に基づく助け合いの精神です。

 

大規模な労働運動を指導した後、賀川は本格的に協同組合運動を主導していきます。

消費組合、信用組合、購買組合、農民組合など様々な協同組合の設立に関わりました。

戦後には、日本生協連の初代会長にも就任しています。

 

賀川は協同組合を社会の基盤にすることを目指しました。協同組合で構成される社会を、資本主義、共産主義にかわる「第三の道」と考えたのです。

 

賀川は高度な理論から出発したのではなく、社会の必要に応えるという実践によって協同組合の活動を発展させた人でした。

 

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資料館の見学

 

 賀川豊彦は、自らの協同組合の中心思想を次の7つのような標語としました。

利益共楽: 一人ひとりが利益を分かち合う

人格経済: 人間中心の経済社会

資本協同: 皆が出資し、生活を豊かにする資本として活かす

非搾取: 搾取がなくなれば非格差社会が実現する

権力分散: 権力を分散し、人権を保障する

超政党: 特定政党に偏しない

教育中心: 生活者としての意識と知識の向上を図るf:id:ILO_Japan_Friends:20190909152450j:plain

賀川豊彦の7つの協同組合論

 

 

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賀川豊彦記念 松沢資料館

https://zaidan.unchusha.com/

 

 

アフリカの協同組合のリーダーの研修の一環として、9月13日に公開セミナーを実施します!

この研修の立ち上げに尽力いただいたギー・チャミ氏もILO本部から来日し、本セミナーで基調講演を行います!

アフリカの協同組合活動の現状について知る貴重な機会ともなります。ご関心のある方は是非下記の登録フォームよりお申し込みください!

 

<登録フォーム>

https://bit.ly/2YiWYhu

 

セミナーHP>

https://www.ilo.org/tokyo/events-and-meetings/WCMS_714831/lang--ja/index.htm