ILO_Japan_Friends’s diary

ILO Japan Friends’ diary

国際労働機関(ILO)駐日事務所・インターンによるブログです。

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【アフリカの協同組合リーダーは日本の協同組合活動を見て何を感じたか!? アフリカ協同組合リーダー視察研修事業 最終日公開セミナー in 国連大学】

ILO日本生協連(JCCU)によるアフリカの協同組合関係者の視察研修事業、最終日となる9月13日に、国連大学にて研修参加者による公開セミナー「仕事の未来×アフリカ×協同組合」がILO駐日事務所と日本協同組合機構(JCA)によって共催され、ILO本部協同組合ユニット専門官による基調講演と研修参加者によるアフリカ各国の協同組合概況の報告がありました。  

セミナーは14時から開始ですが、その準備段階から研修参加者数名はすでに緊張した面持ちでした。また、ILOインターン含め、この視察研修事業に参加した関係者らも期待と緊張に胸を膨らませて準備に取り掛かっていました!

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非常に多くの参加者にお越しいただき、ナイジェリア大使や、タンザニアケニアウガンダ大使館からも公使をはじめ、多くの関係者が出席されました。

 

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開会挨拶・主催者挨拶

本田英一JCA代表理事副会長・日本生協連会長のご挨拶で、本視察研修事業が2010年から始まって今年で10回目になること、ILOにとっても創設100周年にあたり、今年もILOと共催で医療生協・大学生協等様々な協同組合を視察したことについてお話しいただきました。

また、田口ILO駐日代表は、ILO創設の翌年の1920年から協同組合部が創設され、ILOと協同組合が密接な関係にあることを説明しました。

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2010年から継続して視察研修事業を続けてきたJCCUとILOの活動に、今回準備や随行で参加したインターンとしても非常に感慨深く思いました!

 

基調講演(仕事の未来、協同組合・社会的連帯経済の動向) 

ギー・チャミILO協同組合ユニット 政策・調査専門官

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基調講演では、ギー・チャミILO協同組合ユニット政策・調査専門官がILOジュネーブ本部から来日し、ILOが取り組む仕事の未来、協同組合・社会的連帯経済の動向について講演しました。

 

ギーさんは、協同組合と仕事の世界を取り巻く環境は大きく変動しており、変化には

① 高齢化・若年人口の増減・都市化などの人口変化

② AIや自動化技術といった仕事に変化をもたらす技術的変化

③ 基本的人権の侵害や不平等の拡大をもたらす経済的変化

④ 気候変動に伴って仕事の世界へ影響をもたらす環境的変化

 

の4つが存在し、協同組合はそれぞれに対応して、様々なサポート(一例として、職に就く難民・移民に対する組合運営の住居の提供AI技術の活用による顧客の注文管理グローバルチェーンに対応した活動EUやUSでのエネルギー関連の組合による環境変化に対応した活動等)を行っていることなどを説明しました。

 

 

ILOと協同組合」と聞くと一見関わりがなさそうに思えますが、ILOILO勧告第193号の「協同組合の促進に関する勧告」(詳細:https://bit.ly/2Zh74j9)に基づいて、協同組合を促進する措置を講じるよう加盟国に呼びかける役割を担っているのです!

 

これはインターンをするまで全く知りませんでした・・・

 

しかし、このことからも、先の田口ILO駐日代表の話にもあるように、協同組合がディーセント・ワークの創出に貢献する企業体であり、ILO創設の翌年には協同組合部が創設され、長い期間ILOと協同組合が密接な関係にあることがよくわかります。

 

 

研修プログラムの説明

天野晴元 日本生協連国際部長

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日本生協連からは天野さんより、視察研修事業の趣旨についてご説明いただきました。

アフリカの農協や信用組合などを中心に研修参加者を日本に招き、視察を行うことは、例えば生協の宅配事業において協同組合がユーザーのもとに直接出向くというビジネスの形を研修参加者に示し、各国の協同組合活動において新しい視野を広げることに大いに役立つ、とお話しいただきました。

 

実際に随行したインターンから見ても、研修参加者から視察中に日本の協同組合活動に関する質問が多く出て、「自国でも再現したい」といった声もありました。

一方で、今回視察研修事業に参加した5人のうち3人が女性で、それぞれ財政運営局長・協同組合アドバイザー・会長職と、アフリカにおけるマネジメントレベルでの女性の活躍は非常に進んでいると実感しました。

 

 

研修参加者による講演

研修参加者5名は、アフリカ各国の協同組合の活動やその挑戦に関して講演しました。 どの参加者も非常に興味深い、熱のこもったお話で、自国の協同組合の活動や課題・展望、また、日本の協同組合と自国との違いにも講演で触れていました。

 

例えば、ナイジェリアから来日した研修参加者のオラディポさんは、視察研修中に見つけた日本の協同組合の法制度とナイジェリアの違いについても言及し、日本では協同組合の活動全体をカバーする法律はなく、各協同組合は異なる法律によって規制されているのに対して、ナイジェリアの各協同組合は同一ルールの対象であることを指摘しました。

 

普段なかなか海外の協同組合、特に法律という観点で比較をすることがないため、オラディポさんの話は日本の協同組合の活発な活動を再認識する機会になり、且つ、ナイジェリアの協同組合の現状を知る良い時間にもなりました!

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また、ケニアから参加したウルスラさんは、視察研修事業に言及し、政府と協同組合との関係を通じた農業保険、リサイクルシステム、ヘルスケアシステムなどの日本の協同組合活動の例を挙げて、自国での実現を望むと話していました。

 

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こうした発言を聞いていると、視察研修中に参加者の方が日本の協同組合の活動に驚いていたのを思い出します・・・

 

例えば、タンザニアから参加したソモエさんは、コープ春日部店を視察した際、商品棚に並ぶキリマンジャロコーヒーを見て、自国のコーヒーが海を渡って日本のCO-OP店で売られていることに非常に感動していました!

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同じくタンザニアから視察研修に参加したアウグストさんは、自国で乳製品に精通していることから、視察研修事業中は日本のアイスクリームを食べてその新鮮さ・美味しさに感動し、また、コープ春日部店でもコーヒー牛乳を購入してその新鮮さと甘みに驚いていました!どうやってその新鮮さを保つのかにも関心を寄せており、ぜひ自国でも実現してみたいと話していました!

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そして、国後すぐに、フレッシュミルクの販売促進のため、自分たちの協同組合が活動するタンザニアキリマンジャロ地区で初めて設置されたミルクATMの画像を送ってくれました。

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写真を見て、日本で見て感じたことを実際に行動に起こす、そんな活動の広がりを強く感じました!こうして活動の幅が広がっていくことを切に願います!

 

 

最後に...

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このセミナーをもって、2019年のアフリカ協同組合視察研修は終了しました。

どの参加者も、日本の協同組合の活動や技術を学び、それぞれの国で参考にできること・活用できることを見出し、帰国しました。

また、私たちインターンも、研修参加者の話はどれも普段聞くことのないアフリカの協同組合の現状・課題・挑戦を知る良い機会となり、また視察研修の随行を通じてインターン自身、協同組合の活動の重要性を知る貴重な体験となりました!

 

また、この視察研修中、ウルスラさんから視察研修事業の参加者を代表して、ウガンダの国鳥「ホオジロカンムリヅル」の像を頂きました

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ウガンダケニアタンザニアなど、アフリカ大陸東南部に住む鶴で、綺麗な湿地や草原に住むことから自然保護活動の象徴としても知られています。今回そんな「ホオジロカンムリヅル」もILO駐日事務所にいるアフリカ動物たちの仲間入りをしました!

プログラムを通じて、様々な動物が増えていく様子を見ると、これまでのILO駐日事務所の活動の歴史を深く感じます。

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この視察研修によって、アフリカの開発やビジネス、雇用創出において重要な役割を担う協同組合の活動が、今後より活発になることを願っています!

 

それではまた次回のブログ更新でお会いしましょう。。。