ILO_Japan_Friends’s diary

ILO Japan Friends’ diary

国際労働機関(ILO)駐日事務所・インターンによるブログです。

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【より良い未来へ、東京2020×ILO 第3回サステナビリティ・フォーラム開催!】

ILO公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、2020年の東京五輪に向けて企業がCSR(企業の社会的責任)を通じてこの大会に関わる全ての労働者のディーセント・ワークを促進するために、パートナーシップを結び、様々な協力活動を行っています

  

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(画像参照:ILO HP「ILO/東京2020組織委員会協力覚書」 https://bit.ly/2Qi8VLV

 

今年9月18日(水)に開催された第3回サステナビリティ・フォーラムはその一環であり、企業の社会的責任ある労働慣行に関する啓発のため、各方面からサステナビリティの関係者・専門家をお呼びし、ディスカッションを行う場を開催しました。

 

ILOインターンもこの準備に関わり非常に良い経験となりました。今日のブログではそのフォーラムについてインターンの目線からの感想を記載したいと思います。

 

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写真提供:ILO駐日事務所©

 

冒頭、山本隆 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会副事務総長とILO田口晶子駐日代表から開会の挨拶があり、組織委員会の持続可能性に関する取組みの現状と展望スポーツと仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶に向けた視点の共有、さらにディーセント・ワーク実現に向けた社会的責任ある労働慣行をいかに2020のレガシーとして残すことができるか、等の今回のフォーラムにおける目的にも触れました。

 

今回3回目となるフォーラムでは、過去の議論をさらに進展させた内容となりました。過去2回のフォーラムの記録についてはILO HPからご覧ください!

ILO HP「ILO東京2020組織委員会との協力」 https://bit.ly/33wQmdt

 

 

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写真提供:ILO駐日事務所©

また、東京2020組織委員会の持続可能性部長を務める荒田さんからは、企業におけるコンプライアンスの遵守や差別・ハラスメントの禁止についての話があり、サプライチェーンへの働きかけについてまだ取り組んでいない事業者が多い現状を指摘し、大会をきっかけにそうした取り組みが広がることに期待するという話がありました。

 

荒田さんの話にもありましたが、来年の大会に向けてサプライチェーンにおける人権やディーセント・ワークは重要なポイントになると思います。自らのサプライチェーンに働きかけ、サプライチェーンの把握やリスクの発見と評価、好事例に学び、労働原則の共通理解の促進、労使コミュニケーションなどの実践を通じて、持続可能性に配慮した調達が重要になります。

 

こうした話に対して、ILOジュネーブ本部で企業局長を務めるヴューレン・ヴァン・ヴューレンさんは以下のように述べています。

「(労働CSRの課題に取り組むうえで、今世界が直面する課題として社会性の認識の欠如やディーセント・ワークを伴うコンプライアンスの不在が見られる一方で、環境問題がある。我々は何をするにしても、これらに取り組んでいかねばならない。

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写真提供:ILO駐日事務所©

ヴューレンさんとはILOインターンも対面で話す機会がありましたが、ビジネスと人権に関する深い経験を共有頂き、非常に勉強になるものでした。

ヴューレンさんも話していましたが、労働CSR一つとっても環境問題や人権問題、ディーセント・ワークと様々な観点が絡み合っています。

例えば、グローバル・サプライチェーンにおいて、多国籍企業が行うデュー・ディリジェンスは、「結社の自由、団体交渉、労使関係、社会対話を中心に考慮すべきだ」という話もあり、この内容は、ILOが出している「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言(多国籍企業宣言)」にも強調されています。ILOはこうした宣言で触れている事項の遵守を促すことが任務である、とヴューレンさんは述べていました。

 

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写真提供:ILO駐日事務所©

フォーラムにはサステナビリティに取り組む企業担当者や専門家に登壇いただき、各社の取り組みや研究、今後の展望などを説明頂きました。

例えば、CSRやディーセント・ワークは企業の中で新たに始めるものではなく、既にビジネスの実践の中で取り組まれていることがある、というお話がありました。海外に工場を持つサプライヤーが現地労働者の雇用をつなぎとめるために、その環境づくりや技術指導を行うことがその一例だといえます。

 

また、ILOからはILO本部企業局多国籍企業ユニット上級専門家の荒井さんから、「仕事の世界における暴力とハラスメント撤廃に向けて」という題で話があり、

・今回採択された第190号が暴力とハラスメントが何かと定義したのが初めての試み

あらゆる労働者・従業員・研修中の人やインターン、求職者や求人応募者も対象に、発生場所も職場に限らず、出張中、通勤中、emailなどの通信手段使用中も該当すること、

などを説明しました。

 

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写真提供:ILO駐日事務所©

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写真提供:ILO駐日事務所©


仕事の世界における暴力とハラスメントは人権問題であり、
ゼロ・トレランス(断固として容認しない環境)を前面に掲げていることがよくわかります。

加えて、このフォーラムでこうした話をされていることからも推察できるように、暴力とハラスメントは民間企業の理解とその取り組みによる牽引が必要とされているのだと実感する話でした。

フォーラムでは、衆議院議員にしてILO活動推進議員連盟副会長の馳浩さんをはじめ、バルセロナ五輪柔道銀メダリストの溝口紀子さんソウル五輪シンクロナイズドスイミング銅メダリストの小谷実可子さんら、著名人も参加し、東京2020に向けた各分野におけるディーセント・ワークについて非常に充実したフォーラムとなりました!

 

フォーラムの発表資料並びに概要はILOのHPにアップされているので、ぜひご関心のある方はご覧ください!

↓↓↓

ILO HP「ILO東京2020組織委員会との協力」(https://bit.ly/33wQmdt

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写真提供:ILO駐日事務所©

 

最後に、ILOインターンとしてこのフォーラムの諸準備から実施にまで参加し、非常に感慨深いものがあります。ILOという組織の活動は多岐にわたりますが、こうしてフォーラムを通じて日本企業のCSR活動、ひいてはディーセント・ワークに向けた広報・渉外活動を行っていること、非常に関心を抱きます。

次は、このブログを読むあなたが、ディーセント・ワークに向けて企業・組織・団体でどのように活動していくかを考えていく番です!