ILO_Japan_Friends’s diary

ILO Japan Friends’ diary

国際労働機関(ILO)駐日事務所・インターンによるブログです。

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【働く女性のエンパワーメント】労働組合の取り組み

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前回の記事では、日本企業のジェンダー平等を実現する取り組みを事例集から抜粋し、ご紹介しました。

今回は、日本労働組合総連合会の取組みをご紹介します。

 

 

女性に集中するコロナ禍の影響

労働力調査(基本集計)2020年度(令和2年度)平均」(総務省・2021年4月30日発表)によれば、2020年度の就業者数は6664万人で、9年ぶりに減少しました。非正規雇用の女性労働者は前年度から65万人減少して1407万人とされています*1
新型コロナウイルス禍の影響は、女性労働者に集中しているようです。非正規雇用の女性が真っ先に雇用調整の対象になったことで、ジェンダー平等に向けた日本社会の取組みが道半ばであることが改めて明らかになりました。

ILOの組合好事例集について

ILO(国際労働機関)などによる「G7諸国における責任ある企業行動を通じた働く女性の経済的エンパワーメントの促進」(2017年9月1日~2020年12月31日)プロジェクトでは、前回ご紹介した企業の好事例集のほかにも、「Trade union policies and practices for gender equality(男女平等のための労働組合のポリシー及び実際の活動)」(日本語版準備中)を公表しています。
このプロジェクトは、G7諸国の官民両部門で女性の経済的エンパワーメントを促進することによって持続可能で包摂的かつ公平な経済成長を支えることを目的としています。また、複数利害関係者(政府、使用者、労働者等)の対話によって、G7諸国全体を通じて女性の経済的エンパワーメントが進むことが期待されています。
また、政労使の三者構成をとっているILOは、社会問題等に関する国内政策の策定や実行において労働組合と使用者の「社会対話」を推進し、三者構成主義を奨励しています。
このように、政府、使用者(企業)のみならず、労働組合も主体となってジェンダー平等の実現をより一層実現していく必要があります。

連合の指導的地位の女性割合向上の取組み

「Trade union policies and practices for gender equality(男女平等のための労働組合のポリシー及び実際の活動)」では、日本労働組合総連合会の取組みが紹介されています。
連合は、2020年から2021年のスローガンを「私たちが未来を変える~安心社会に向けて~」として、ジェンダー、年齢、国籍、障がいの有無、雇用形態にかかわらず、多様性を受容し相互に助け合う職場とより広い社会の促進を目指しています。
また、連合のジェンダー平等参画推進計画は、2013年に開始されました。役員及び機関会議の女性参画率を2020年9月までに30%にするとの数値目標を掲げて、ジェンダー平等参画推進に取り組んでいます。さらに、2024年9月末までに執行機関への組合員比率に応じた女性の参画機会を確保することを目標にしています*2

社会全体でジェンダー平等をより一層推進するために

女性の活躍で経済発展を推進する「女性活躍推進法」が2015年2月に成立し、管理職に占める女性の割合を2020年に30%程度にすることをめざしましたが、達成できなかったため「2020年代の可能な限り早期に30%程度にする」との数値目標に変更されました。
女性活躍を推進するためには、働く女性たちの声に耳を傾け、より一層働きやすい環境を作るよう社会全体で働きかけを行って、目標を達成していくことが重要です。ILO組合事例集の好事例を参考に、あなたの労働組合でも女性活躍推進し、使用者との対話を進めてみませんか?

 

次回サプライチェーンにおけるジェンダー平等の取り組みをご紹介します。

*1:総務省統計局「労働力調査(基本集計)2020年度(令和2年度)平均」https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nendo/pdf/gaiyou.pdf (2020/07/06) 

*2:連合「【重点分野-3】連合『ジェンダー平等推進計画』フェーズ 1 世界の潮流は『203050』! Change(チェンジ)・Challenge(チャレンジ)・Movement(ムーヴメント)!」https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/gender/data/promotion_plan_fs1/keikaku_fase1.pdf?9101 (2021/07/07)