ILO_Japan_Friends’s diary

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国際労働機関(ILO)駐日事務所・インターンによるブログです。

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ILO職員インタビュー第4回(1/2):三宅伸吾 労働法国際労働基準専門家

本企画はILOや国際機関に関心のある方や将来のキャリアとして国際機関を考えておられる方にILOの具体的な姿をイメージしてもらえることを目的としています。職員の方へのインタビューを通してILOでの具体的な業務、やりがいやキャリアパスを皆様にご紹介していきます!

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前回の記事はコチラ↓

第3回(1/2):川上剛 労働安全衛生・労働監督上級専門家~業務内容ややりがい~

第3回(2/2):川上剛 労働安全衛生・労働監督上級専門家~キャリアパス~

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第4回目はILOカリブ海域事務所(トリニダード・トバゴ)の労働法国際労働基準専門家である三宅さんにお話を伺いました。

 

 

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三宅伸吾(みやけ しんご) 

国際基督教大学にて国際法を学び、東京大学大学院にて国際法の法学修士を取得。アクセンチュアでのコンサルタントを経て、2001年にILOに入り、それ以来国際労働基準の活動に従事。ジュネーブ本部にて11年間法務官として勤務したのに加え、フィリピンの首都マニラのILO東南アジア及び太平洋地域局、インドネシアの首都ジャカルタILOフィールド事務所においても3年半勤務。2015年よりカリブ海域事務所に入所。現在は、カリブ海地域の国際労働基準の適用を促進するため、政府、雇用主、労働者の組織のサポートに従事。

 

国際労働基準労働法専門家の仕事

―現在の業務について教えていただけますか。

労働法国際労働基準専門家という役職で、カリブ海域事務所に所属し、カリブ海域に所属する13加盟国と9海外領土(英語・オランダ語圏)をカバーしています。業務では、ILOの条約や勧告からなる「国際労働基準」を使いながら、できるだけ良い労働法を作ってもらうように、各国の労働法の改正の際のサポートをしています。もう一つは、国際労働基準自体の周知活動です。各国に各条約を批准してもらい、コミットしてもらうと共に、批准しなくても国際労働基準を法律や政策で使ってもらえるようよう働きかけたり、具体的な活用提案をしています。

法律や政策方針を扱うことが多いので普段は政府とやり取りをすることが多いのですが、市民団体などから問い合わせを受けることもあります。私が以前受けた問い合わせは、看護師団体や家事労働者(お手伝いさん)など。トリニダード・トバゴでは家事労働者のNGOの活動が活発なのですが、家事労働者が日々どのような問題に接しているかなどは、政府や組合の人よりもNGOの方が精通しているケースもあります。市民団体の持っている生の情報は貴重なことが多いので、ILOのミーティングでも構成員である「政労使」の三者に加えて市民団体の方に入ってもらうこともあります。

 

―毎日の生活はどのようなものですか?

トリニダード・トバゴでは交通渋滞がひどいので、それを避けて朝7時半~8時の間には出勤しています。メールをチェックして連絡事項や依頼事項を確認してから、その日の業務に取り掛かりますが、ヨーロッパ人の同僚がいるので10時にはコーヒーブレイクが入ることもあります(笑)。昼食はお弁当を用意する同僚が多いですね。僕は食べに行くかテイクアウトしてオフィスで食べるかします。その後午後の仕事を終えて、帰宅は17時~18時頃ですね。長距離を通勤してくる同僚はうんと早く出勤して午後早めに帰宅することもあるので、事務所全体が大体これぐらいの時間にはひっそりします。

 

楽しいこと、嬉しかったこと

―最も楽しいお仕事は何ですか?

私の仕事は法律や条約の文書という、抽象的で大きなものを扱うことが多いのだけれども、楽しさはむしろ、もっと具体的な個人間のつながりの部分にあることが多いです。

例えば、ある国では協議を行うと政労使がそれぞれの立場や見解を主張することに時間が費やされ、それらの共通点や妥協点を見出したりすることができず、結果として対立のみ目立ち、話が進まないことが多く、協議の議長を務める労働省の主席法務官は困っていました。そこで、三者およびILOの意見を論点や法律の条文ごとに整理したマトリックスをあらかじめ作成して、それを見ながら協議を進めるという流れを提案しました。その結果、議論の主眼が立場の主張ではなく、次にやるべきことに移っていくようになったのです。それに手ごたえを得たのか、法務官は他の法律の協議のときにも使うようになり、各立場だけでなく、関連法律の条文を追加してマトリックスだけ見ていればいいようにしたり、会議の場でプロジェクターでマトリックスを映してその場で妥協点を確認しながら進めたりと、自分たちで改良をどんどん進めていきました。それとともに法務官の議長としての采配ぶりも自信に満ち、議論を結論に向けてさらに強くリードしていけるように目に見えて変わっていきました。この経験を通して、この法務官とは仕事上での信頼感も構築され、ちょっとした相談も出来るようになりました。

この時議論していた法律自体はまだ採択されていないので、専門家としての私が出すべき成果としては未完ですが、この法務官の変化を目の当たりにして、そのお手伝いができたことをとても嬉しく感じたし、仕事上の満足感も得られました。この法務官は大臣にさらに信頼されるようになりました。ILOへのパートナーとしての信頼も高まったように思います。

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ILO条約の国内実施のためのワークショップにて

―現地の政労使から信頼を得るために気を付けていることはありますか?

外交においては、専門家や大臣レベルであっても、個人的なつながりや信頼関係によって物事が進んだり進まなかったりすることはよくあります。私が日々気を付けていることは、問い合わせがあったら、必ず返信をすることですね。カリブ海域では郵便事情はよくないし、島国でそれぞれ離れているので、大きな依頼や問い合わせがメールで来ることがしばしばあります。そんなわけで、1通のメールにしてもその後ろにどれくらいの人が関わっていて、どれくらいの緊急度で送ってきているのかは分からないのです。

あとは、常に同じ視点に立つようにしています。パートナーの隣に並んで問題に「浸ってみた」視点で見るように心がけています。何か解決法を教えてあげるというのではなく、相手の状況を踏まえながら、一緒に考えていこうという姿勢をとるということですね。これは、私自身やILOが必ずしもすべての問合せの回答を持ち合わせていない、また、回答を持っていたとしてもそれが個別状況にとって最適な解か分らないという前提に立つことでもあります。これによって自分の中でも、答えが分らないから焦るということがなくなるので、心に余裕が持てるようになったりもします。問題の発見から解決の提案、実施のサポートまで一緒にやっていくこと、つまり、苦労も共にすることで、信頼ができていくんだと思います。

 

苦労したこと、大変だったこと

―現在の業務で大変に感じたことはありますか?

現在、EU拠出の女性に対する暴力撤廃のプロジェクトをガイアナ、ジャマイカやその他のいくつかのカリブ海の国で実施しています。その中のトリニダード・トバゴの案件調整を昨年担当しましたが、その際にILOの特徴を理解してもらうのに時間がかかりました。他の国連機関は、政府のみと協働することに慣れていますがILOでは労働組合も使用者団体も意思決定パートナーです。そのため、これらの団体の意見も踏まえたILOの関心事項を、国連のプロジェクトに入れてもらうことに苦労しました。また、ILO内での活動計画案作成や変更も短い準備期間の中で複数の同僚とやっていたため、大変でしたね。

 

―国際労働基準の中には、意見の対立が顕著な分野もあると思いますが、それで苦労された経験はありますか?

ILO基準をベースにした議論の場合、国内法の具体的な条文について指摘することが多いので、政治的に反対されることはあまりありません。ただ、先住民、児童労働やLGBTなどについては、問題によっては政治化されているものもあり、「この国には先住民はいません」と言われてしまうこともあります。もう、その話題は扱いたくないという風な態度をとられてしまった場合などは難しいですね。

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専門家として大切なこと

ー三宅さんにとって、専門家として働く上で大事なことはなんですか?

専門家にとって大事なことは、自分自身で回答が用意できないときにどうすればいいのか、を思いつける知識、人脈、経験を持っていることですかね。すべての国の法律を分かったり、問題について知ったりは出来ないわけですから。もちろん分かる範囲では自分で回答を用意するけれども、本部の人たちや他の国連機関と協力することで、より包括的な解決にもつながります。他の国連機関があつまる会議に案件をもっていってアドバイスを求めたり、場合によっては資金を拠出してもらったり、協働できるアクションを考えたりという経験は大切ですね。

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後半は、三宅さんのキャリアパスについて掘り下げています。記事はこちらから↓
第4回(2/2):三宅伸吾 労働法国際労働基準専門家〜キャリアパス〜

また、以前、三宅さんには「活躍する日本人職員」でもインタビューをさせていただきました。こちらの動画も是非ご覧ください。

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インターンの調査報告:社会的連帯経済(SSE:Social Solidarity Economy)(4/4)

 

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第1回はSSEとは何か第2回はILOにおけるSSEの取り組み第3回はSSEにかかる困難についてご紹介しました。

今回は、SSEが直面する困難へのアプローチと今後のSSEの役割についてです。

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前回見た通り、SSEにとって資金調達は民間企業とは異なる特殊なプロセスを必要とします。このうち、保証や安定的な収入源という点において役割を果たすのが公的資金または政府の関与です。以下で見るケベックの事例は地方政府・地域金融がSSEの発展に大きく役割を果たしたものです。一方のインドのSEWAのケースは地方政府への財政依存が大きい場合の危険性を示す例となっています。

 

-ケベック

  • ケベックではSSEについての強力かつ制度化された生態系が形成されています。その理由としてILO(2019)[1]は長きにわたる協同組合・共同体の活動の強い伝統、SSEを政治的・財政的に支える地域政府の積極的な関与、セクター横断的な協力関係の構築を挙げています。
  • 特にSSEを巻き込んで公共政策を形成するという地域政府の開放性はケベックにおけるSSEの成功を特徴づけるものです。そのかいもあってか今、SSEは400億カナダドル以上の売り上げを持ち21万人以上の雇用を担っています。
  • なお、ケベックではSSEの定義をするうえで非営利であることと集団による所有を重視しており、自主設定した社会的目標を掲げる私企業は政府の提供するSSE組織向けの金融商品の多くにアクセスできません。
  • ですが、SSEを財政的に支える仕組みは他にもあり、例えば「連帯ファイナンス」は集団により所有される事業体への投資を指しますが、ベンチャー投資を含む「開発資本」は社会的目標を掲げる事業体であれば社会的経済にかかわらず投資を行います。

ケベックの事例は地域政府と金融機関、SSEが対話を重ねながら政策作りを行っていることで、SSEが活躍しやすい土壌を形成していることを示しています。

一方で、地域政府に依存することでSSEが窮地に陥る危険性も指摘されています。例えば地域政府の公共調達にその生産と売り上げを大きく依存するSSEは政府の政策変更や政党間の対立の影響を大きく受けます。

 

-インド:Shree Saundarya Safai Utkarsh Mahila SEWA Sahakari Mandli Limited.

  • Shree Saundarya Safai Utkarsh Mahila SEWA Sahakari Mandli Limitedは清掃サービスを提供する女性の協同組合で、先に述べたSEWAの全国組織の支援を受けながら設立されました。
  • この協同組合は設立時から公的機関の施設における清掃サービスの提供を業務として請け負ってきました。しかし、契約は1年ごとの更新であったこと、他の事業者に契約を取られてしまったことなどから定期的な仕事を得るのが難しくなりました。
  • そこで取られた方策が全国組織のSEWAによるマーケティング調査と、それに基づき特定された潜在市場への定期的な訪問でした。

 

この事例は公共調達が確かに安定的な雇用をもたらすという点で重要であるものの、それへの過度な依存がSSEの存立すら危うくする可能性があることを示しています。こうした課題に対して、専門的な知識による支援やSSE自身の積極的な市場開拓が有効であることがわかります。ILOもこうしたSSEの能力の向上に対して技術支援を行っています。 

公共資金の他にSSEが資金を得る手段としては民間資金に頼る方法があります。

民間資金のうちSSEとの関わりで期待されるのが:

・協同組合型の金融(共済)

・通常金融による社会的パフォーマンスに対する金融サービス

の2つです。

共済は協同組合が提供する組合員に対する金融サービスを指します。営利を目的としない点で民間の保険と区別されます。純粋な営利団体に比べて財政的リスクを負いやすいSSEにとって、こうした共同的な財政確保の取り組みは安定的な資金調達に繋がることが考えられます。

社会的パフォーマンスに基づく金融サービスの提供とは、一般的に財政的パフォーマンスをもとに企業・団体に資金提供を行うのとは異なり、社会的パフォーマンスも資金提供をする上での判断基準の一つとして機能することを指します。ソーシャルインパクトボンドやソーシャルインパクトインベストメント、ソーシャルインパクトインシュアランスと様々な金融スキームで用いられます。中でもソーシャルインパクトボンドはその運用が進んでおり、官民連携における民間資金の提供に社会的パフォーマンスへの考慮が盛りこまれることとなっています。G8諸国により設立された社会的インパクトタスクフォースはその報告書の中でインパクトについての計測可能な目標の設定、受託者責任の明確化、政府による積極的な環境整備の必要等を提言としてまとめています。

ILOにもソーシャルファイナンスセクターがあり、中小企業や個人への金融サービスを通してディーセント・ワークを達成することを目標として金融セクターの能力開発に携わっています。この取り組みにおいても企業の財政的パフォーマンスだけでなくディーセント・ワークへの貢献という社会的パフォーマンスをもとにした金融サービスの提供が行われています。

 

  1. 今後SSEが担う役割

SSEがディーセント・ワークの創出にあたって大きな役割を果たしていること、またSSEの発展には政府や金融機関といった様々なアクターの関与が必要であることを紹介することができたように思います。その上でSSEを政策上どのように位置づけるべきか、どのような役割を今後SSEが担うべきか、という点について私見を述べたいと思います。

第1章でSSEを政策的手段として扱うか、軸として捉えるかでSSEの性質が異なる可能性があることを指摘しました。SSEの基本的特徴である社会的目標・協力/連帯関係・民主主義を確保しつつディーセント・ワークの創出を含む政策目標を達成するにはまずSSEの制度化が必要であり、その前提としての実態把握が必要であると考えます。現状では協同組合については分野ごとの個別協同組合法による制度化、NPOや社団法人・財団法人については法人格ごとに規定されています。法人格・分野にかかわらずSSEの基本的価値を定義したうえで政府、営利企業、SSEが協力して互いの役割を果たすことがSSEの価値を毀損せず政策目標を達成する上で重要なのではないかと思います。仮にSSEとは何か、どういった団体がSSEに該当するのか、の定義なしにSSEを政策目的に利用することは営利企業/SSE双方の役割の境目を希薄化させてしまうことが考えられ、結果としてSSEの価値が損なわれてしまうのではないでしょうか。もちろんSSEは万能薬ではなく、営利企業が果たす重要な役割を見過ごすこともできません。営利企業・SSE双方の良さを引き出すためにもそれぞれの得意分野・役割を把握することが必要です。

 

これまでSSE、主に協同組合が労働の分野で担ってきた役割は

・インフォーマルな雇用のフォーマル化

・金融包摂

・脆弱な労働者(若者、女性、障碍者)に対する社会的保護・訓練・雇用の機会の提供

といった最低限のセーフティーネットの提供という役割が大きかったと考えられます。

 上記に加えて今後SSEとして担うことが期待されている役割は

 ・労働の生産性、持続性を確保することによるディーセント・ワークの創出

と言えるのではないかと思います。

そのためにはSSEとしても積極的に営利企業とのかかわり、イノベーションへの取り組みをしていかなくてはなりません。

具体的には

サプライチェーンにおける労働者の保護の提供

・プラットフォーム型SSE

がカギとなると考えられます。SSEが営利企業と関わる機会が増えれば増えるほど、サプライチェーンの中にSSEが組み込まれることも多くなり、そこでの労働者の保護がSSEにとっての重要な役割となります。プラットフォーム型SSEは今現在プラットフォーマーと呼ばれる企業が行っている仲介機能をSSEが担うものです。欧米ではすでに移民労働者向けの家事労働サービス仲介SSEや自治体による宿泊施設の管理をするプラットフォームが存在します。日本においても地理的な制限を超えた新たな繋がりの形を生み出すことが人口減少社会において期待されます。

 

[1] 同上

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SSEの調査報告は以上となります!ご覧いただき、ありがとうございました。

インターンの調査報告:社会的連帯経済(SSE:Social Solidarity Economy)(3/4)

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第1回でSSEとは何か第2回でILOにおけるSSEの取り組みについてご紹介しました。

今回は、SSEが直面する困難についてです。

協同組合・SSEは以上みてきたように、ディーセント・ワークの推進に大きく貢献するものですが、それらにはその特徴から生じる様々な困難があります。その障壁が協同組合・SSEのスケールアップを難しくしています。

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SSEにかかる困難

①ガバナンス

これはSSEの中でも主に協同組合が直面している困難です。

・全国組織と地域組織の関係性の在り方

協同組合のスケールアップに関しては制度的な障害もあります。日本の場合、各種協同組合の活動の範囲は基本的に都道府県に限定されています。インドでは協同組合を規律する法律が州ごとに異なっていることから、実質的に活動範囲が州レベルに制限されています。そのため、各協同組合の連携を図るうえで全国規模の連合組織が設立されるのが一般的です。日本のこくみん共済連合会には47都道府県の共済組織が加盟していますし、前述のSEWAにも連邦組織が存在しています。Gujarat State Women’s SEWA Cooperative Federation Limitedは115の協同組合をメンバーに持つ連邦組織です。メンバーの協同組合の利益を国レベル/国際レベルで代弁したり、協同組合の能力向上、協同組合相互の連携を行います。地域のニーズに即しコミュニティの人々のディーセント・ワークを達成するという役割が協同組合に期待されていると考えると、協同組合が地域ごとに分かれていることには合理性も感じますが、デジタル化の進展に伴うメンバーシップの多様化や金融など規模の拡大が持つ効果が強い分野ではこうした協同組合の在り方が適切かどうかには疑問が残ります。

 

また、仮に協同組合が上記の課題を克服しスケールアップできたとしても、協同組合の特徴である1人1票原則や組合員の連帯感が希薄化するという問題が挙げられます。UNTFSSE[1]もこの問題を認識しており、大規模な協同組合は階層的なガバナンス構造を持ち、平等よりも効率を重視するようになり、営利企業CSRとの違いが見えにくくなると指摘しています。

2019年9月に行われた協同組合セミナーでも大学生協の方からその旨の懸念の声が挙げられました。協同組合を一から自分たちの手で作り上げるのとは異なり、すでにある協同組合のサービスを受ける場合、自らが構成員であり、意思決定に関わることができるという感覚を持つのは確かに難しいと感じます。協同組合の性質とその利点があまり周知されていないというのも原因の一つではないかと思われます。 

②財政

協同組合・SSEにとって資金調達はもう一つの課題です。規模を拡大すること・市場の変動に耐え事業を継続することにおいて、安定的な資金の調達は必要不可欠な要素です。

SSEにとって資金調達の手段は内部資源の活用、慈善や寄付、ローンや株式による調達が主です。以下の図でもわかるように、SSEの資金調達源・手段は営利企業と共通の部分もあればSSE特有のものもあります。例として挙げられるのが、スペインのモンドラゴン協同組合グループ(労働者協同組合の全国組織)です。モンドラゴン協同組合グループは内部に協同組合だけでなく子会社も保有しており、その数は266に上ります。そこでは2008年の世界金融危機のあおりを受け、グループのうち住宅向け家電を製造する協同組合が倒産しています[2]モンドラゴン協同組合グループは危機に瀕したグループ協同組合に対して内部資金を注入するほか、労働者組合員の共済組織からの救援も受け、立て直しを図りましたが、最終的には内部資金の継続が中止され[3]破綻をもたらすことになりました。

こうした資金調達を行う上で課題となるのがSSEの資金需要を正確に見積もることの困難さSSEが持つ社会的価値やリスクの適正な評価をすることの困難さが挙げられます。それゆえSSEへの資金提供者は営利企業に対するものと変わりませんが、SSE組織を対象とした保証スキームを構築することが推奨されます。保証スキームは公的資金によるもの、中小企業・協同組合等の相互扶助に基づき形成されるコンソーシアム等の形をとるものがあります[4]。保証者は保証積立金のような形でSSEの信用を金融機関に対し保証します。

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ILO(2019)もとに筆者翻訳、作成

 

 

 

[1] 前掲注5

[2] 坂内久(2014)「スペイン・モンドラゴン協同組合グループの動向―『FAGORの破綻』の実態と対応―」『農林金融』7月号

[3] 前掲注10

[4] 前掲注1

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次回は第4回困難に対するアプローチ今後SSEが担う役割についてです!ぜひご覧ください!

インターンの調査報告:社会的連帯経済(SSE:Social Solidarity Economy)(2/4)

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第1回は、SSEとは何か?について取り上げました。

こうしたSSEの定義を踏まえた上で次に、労働の専門機関であるILOがどのようにSSEについて取り組んでいるのか、そしてなぜ取り組んでいるのか、について具体例を交えながら紹介します。

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ILOSSE

ILOと協同組合との歴史は長く、ILOは1919年の創設の翌年である1920年に協同組合ユニットを発足させました。協同組合については、2002年の協同組合の促進勧告(第193号)[1]が存在します。これは1966年に採択された協同組合(発展途上にある国)勧告(第127号)を全世界的に適用するものとして置き換えた勧告です。

この勧告に基づき、ILOは2010年からはSSEアカデミーを開催して世界各地から実務家や政策立案者を招きSSEについての研鑽の機会を設けています。今年は10回目と11回目のアカデミーが開催されました。11回目は10月14日から18日の間スペインで行われ、雇用の創出と経済成長におけるSSEの役割への認識、そして公平な再分配システムを通してSSEが社会的・領域的不平等を緩和するような経済システムの多様化をもたらす可能性について宣言しました。

先に紹介したUNTFSSEでもILOは発足メンバーであり、他の機関と交代で議長及び事務局も務めています。2019年はILOが事務局の年であったため、6月25日・26日の二日間、ジュネーブILO本部にて国際会議が開催されました。そこではILOの協同組合ユニットのマネージャーが難民や移民といった脆弱な人々に対してSSEがどのように貢献するのかについての説明を行いました。ILOの企業局局長のVic van Vurrenは経済・社会・環境のバランスをとるうえでのSSEの重要性を強調し、SSEの認識を高めその影響と規模を拡大することを求めました[2]

ILOは2019年6月のILO総会で採択された100周年記念宣言ⅡのA.(ⅸ)で「特に中小零細企業及び協同組合、社会的連帯経済において、起業や持続可能 な企業を可能にする環境を推進し、全ての人にディーセント・ワーク、生産 的な雇用及び生活水準の改善をもたらす、主要な経済成長や雇用創出源としての民間セクターの役割を支援すること」と、協同組合や社会的連帯経済の推進に尽力することを宣言しています[3]

ではなぜILOは協同組合・SSEについてこれほどまでの取り組みをしているのでしょうか?その答えは協同組合・SSEが「すべての人にディーセント・ワークを」というILOの目標に貢献している・貢献が期待されるからです。協同組合・SSEは生産的な雇用、社会的保護、権利の尊重、そして発言の自由の尊重という面からディーセント・ワークの促進に役割を果たします[4]。特にこれまでは途上国におけるその役割が認識されていたため、勧告の適用範囲も途上国に限定されていましたが、仕事の世界の変容、先進国においてSSEが果たすことが期待される役割の拡大を受けた形で勧告の適用範囲が全世界に及ぶようになりました。現にEUでは10%の企業、そして6%の雇用がSSEに含まれると見積もられています[5]

協同組合・SSEが雇用の創出に貢献した事例としてインドのSEWA、そして日本のワーカーズコープ、ビッグイシュー日本の事例を紹介します。

〈具体的な取り組み〉

-Self-Employed Women’s Association(SEWA

  • SEWAはインド14州のインフォーマル経済で働く女性150万人が所属する労働組合です。1972年に創設され、メンバーの労働者としての利益や権利を守るために活動する一方で、彼女らがより良い収入を得、また食料や金融などのサービス社会的保護へのアクセスを改善できるよう、協同組合の立ち上げ・運営を支援しています[6]
  • SEWAは二つの面で革新的です。一つ目は、組合員がフォーマルな教育や訓練を受けられず、また経済的に貧しい出身の女性であること。二つ目は協同組合を通して促進されたインフォーマル経済の多くは初めてフォーマル化に取り組まれるものであったことです。SEWAが登場する以前からインドには協同組合が存在していたものの、その組合員のほとんどを男性が占めていました。これは農業に必要な土地の所有権や家督が男性に所有されていることが原因です。また、女性が従事することの多い育児や介護、ヘルスケアはこれまでインフォーマルな経済として社会的保護は与えられないものでしたが、SEWAの下で社会的保護が与えられるだけでなく、協同組合を組織することでこうした仕事から所得が得られるようになりました。
  • 例えば、SEWAによって組織された協同組合にShree SEWA Homecare Mahila Sahakari Mandli Limited という家事サービスの協同組合が存在します。協同組合は中流階級の住民協会や女性ビジネス協会と契約することで継続的な仕事の調達を可能にし、労働者、顧客双方のバックグラウンドチェック、職業訓練といった役割を果たします。

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ILO(2018)

SEWAがこれまで取りこぼされてきた女性という労働者、そしてインフォーマル経済という仕事双方に社会的保護と声を与えたことがこの事例からわかります。

-ワーカーズコープ:日本労働者協同組合

  • ワーカーズコープは、働く人びとや市民がみんなで出資し、経営にみんなで参加し民主的に事業を運営し、責任を分かち合って、人と地域に役立つ仕事を自分たちでつくる協同組合です。その起源は高齢者事業団による失業者・中高年者の仕事づくりを求める運動でした[7]
  • 日本のワーカーズコープは事業活動・社会連帯活動を通して誰もが安心して幸せに暮らせる「持続的な地域」づくりを目指しているとその目的を掲げています。具体的な事業としては共生ケア(高齢者・障害者)、子育て、自立就労、建物総合管理、地域生活産業といった80種を超える幅広い業務を行っています[8]
  • インターンとして9月に訪問させていただいた港区子育て応援プラザPOKKEもワーカーズコープにより運営されている子育て事業で、自治体の委託を受けて行われています。POKKEでは教職を退職された後の女性や障害を持った女性が働いておられ、また単純に子供を預かるだけでなく、保護者同士のネットワークを構築する場としても機能しており、働く人、そして利用する人双方の福利が追及されている印象を持ちました。ワーカーズコープという存在が意外と普段の生活や身近にあるということを感じる経験となりました。

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子育て応援施設POKKE

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福祉事務所ポジティブ

-ビッグイシュー日本:

  • ビッグイシューは市民が市民自身で仕事、「働く場」を作る試みです。上記の2つの事例が共に協同組合に該当するのに対し、ビッグイシューは有限会社という形態をとっています。ここでは社会的企業の一例として紹介します。ビッグイシュー日本は2003年9月、質の高い雑誌をつくりホームレスの人たちの独占販売事業とすることで、ホームレス問題の解決に挑戦し始めました。ホームレスの人たちの救済(チャリティ)ではなく、仕事を提供し自立を応援する事業である[9]ことが特徴です。販売にあたってもセルフヘルプの観点を重視し、販売促進の方法などは販売者個人の判断にゆだねているといいます。
  • 事業自体はホームレスの人たちが170円でビッグイシューが発行する雑誌を仕入れ、350円で売ることで1冊あたり180円の収入をえることができる仕組みになっています。2018年8月末時点で販売者として登録した人の数は1,837人、卒業者は200人を数えます。
  • 有限会社ビッグイシューNPO法人ビッグイシュー基金と協力してホームレスの人たちのサポートを行っています。NPO法人ビッグイシュー基金は有限会社ビッグイシューに比べより総合的なホームレス支援を行っているのが特徴です。有限会社のビッグイシュー自体はその性格から寄付などを受け取ることはしませんが、ビッグイシュー基金の方ではこうした慈善活動を行っています。

日本でも協同組合・社会的企業によって、脆弱な立場にいる人の雇用確保の試みが行われていることがわかります。

 

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[1]勧告は、協同組合を、「共同で所有され、かつ、民主的に管理される企業を通して、共通の経済的、社会的及び文化的ニーズ及び希望を満たすために自発的に結合された自主的な人々の団体」と定義し、雇用創出、資源動員、投資創出、経済寄与における協同組合の重要性、協同組合が人々の経済・社会開発への参加を推進すること、グローバル化が協同組合に新しい圧力、問題、課題、機会をもたらしたことを認識し、協同組合を促進する措置を講じるよう加盟国に呼びかける。労使団体と協同組合団体の役割、相互関係、国際協力に関する規定も含まれる。Normlex(R193-Promotion of Cooperatives Recommendation, 2002 (No.193)) https://www.ilo.org/dyn/normlex/en/f?p=NORMLEXPUB:12100:0::NO::P12100_ILO_CODE:R193

[2]ILO(2019) “ILO co-organizes an international conference on the Social and Solidarity Economy (SSE)” https://www.ilo.org/global/topics/cooperatives/news/WCMS_711795/lang--en/index.htm

[3] 「仕事の未来に向けたILO創設100周年記念宣言」2019年6月21日第108回ILO総会(ジュネーブ)にて採択https://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/---asia/---ro-bangkok/---ilo-tokyo/documents/publication/wcms_715346.pdf

[4] ILO(2014) “The Social and Solidarity Economy” https://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/---ed_emp/---emp_ent/---coop/documents/publication/wcms_175515.pdf

[5] 同上

[6] ILO(2018) “Advancing cooperation among women workers in the informal economy: The SEWA way” https://www.ilo.org/global/topics/cooperatives/publications/WCMS_633752/lang--en/index.htm

 

[7] ワーカーズコープHP https://jwcu.coop/about/assoc_cooperative/

[8] 同上

[9] ビッグイシュー日本HP  https://www.bigissue.jp/about/

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次回は、協同組合・SSEが面している困難について取り上げます!ぜひご覧ください。

インターンの調査報告:社会的連帯経済(SSE:Social Solidarity Economy)(1/4)

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今回はインターンによる調査報告という形で
「社会的連帯経済」について取り上げたいと思います!

社会的連帯経済とは何か、それを国際労働機関のILOが取り上げる意義、社会的連帯経済にかかる困難について具体例を交えつつご紹介します!最後に今後の社会的連帯経済が担う役割についてインターン個人の分析と見解を述べたいと思います。

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その前にごく簡単に今回の調査ブログ作成に至る経緯を紹介します。私はインターンとしてILOで勤務する中で初めて協同組合、社会的連帯経済というアイディアについて学ぶ機会を得ました。もちろんそれ以前にも地元の農協や大学の生協などで社会的連帯経済に触れてはいたものの、一般企業との差異に注意や関心を払うことはなかったのです。そうした中で社会的連帯経済について掘り下げた調査がしてみたいと考えたことがブログ執筆の背景です。併せて今年2020年はILOの協同組合ユニットが創設100周年を迎えることもあり、一度ここで社会的連帯経済について見直すことがこれからの「仕事の未来」についての議論を支えていく上で重要なのではないかと思います。

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社会的連帯経済(SSE: Social Solidarity Economy)

社会的連帯経済についてはILOの公式な定義はまだないものの、社会的経済とアフリカの国際危機への対応についてのILO地域会議で提起された暫定的なものが存在します。ILO(2019)[1] によれば「財やサービス、知識の生産を通して経済的な目標と社会的な目標の双方を追及しながら連帯を強める企業体や組織のことで、特に協同組合[2]や共済組合、協会、財団、社会的企業[3]を含む概念のことです。

 

社会的連帯経済という言葉は比較的歴史の浅い言葉です。もしかしたら「社会的経済」、「連帯経済」という言葉のほうが聞き覚えのある方は多いのではないでしょうか。もともと別々に発展していた「社会的経済」と「連帯経済」が一緒になったものが「社会的連帯経済」です。そのきっかけはSDGs作成の一環として2013年にSSEについての国連の機関横断タスクフォース(UNTFSSE:United Nations Inter-Agency Task Force on Social and Solidarity Economy)が組織されたことです。これによって政策の場において「社会的連帯経済」が注目されるようになりました(Mendell & Alain, 2015; Utting, 2015)。

 

UNTFSSE[4]によると、SSEは明確な社会的目標(環境的目標をしばしば含む)を持ち、協力・連帯・倫理・民主的な自己管理といった主義とその実践に基づく様々な種類の組織・企業により提供される製品やサービスを指します。SSEには協同組合の他、社会的企業、自助団体、地域共同体に基づく組織、インフォーマル経済の労働者の連合、サービスを提供するNGO、連帯金融スキーム等が含まれます。

 

このように、SSEは政策論議の場から生まれた言葉であると解釈できます。しかし、SSEを政策の場において主要な議題として扱うにあたって注意すべきことがUNTFSSEのレポートに述べられています[5]。政策にSSEを取り入れるにあたっては二つの留意すべき段階が存在しており、第一段階を「手段化(instrumentalization)」第二段階を「制度的同形化(institutional isomorphism)」と呼びます。

 

-「手段化(instrumentalization):政策的・社会的イノベーションが優勢な政策レジームや発展経路に取り込まれたり、強力な組織・アクターが特定の目的に沿って政策を改変することを指す。

  • SSEはしばしば政府によって特定の政策目標を達成するために用いられることがある。

 

重要なのは、SSEの概念は開発の世界で通用しつつあるのに対し、SSEを支援する政策の性質は既存の政策レジームと開発戦略の影響を大いに受けるということです。また、異なる利益や価値観を持つアクター同士ではSSEという言葉を用いる方向が違うこともあります。

 

-「制度的同形化(institutional isomorphism):ある組織が関わりを有する制度・組織の特性である一定の特徴や慣行を引き受けることを指す。

  • 手段化がさらに進んだ段階ではSSEの性質が大きく変容し主流の制度・組織の特徴を引き受けるようになる。

 

こうしてSSEをあくまで既存の制度に協調させる形で政策に用いることが社会的・環境的目標を財政・経済的目標の下部に位置付けることにつながるのではないかという懸念が上がっています。

 

SSEをあくまで政策手段の一つとして捉えるのか、SSEを軸として政策を形成するかでSSEの在り方は変わっていくように思われます。

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[1] ILO(2019) “Financial Mechanisms for Innovative Social and Solidarity Economy Ecosystems” Samuel Barco Serrano, Riccrdo Bodini, Michael Roy, Gianluca Salvatori

https://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/---ed_emp/---emp_ent/---coop/documents/publication/wcms_728367.pdf

[2] 協同組合とは、ILO協同組合の促進勧告(第193号)および国際協同組合同盟「協同組合のアイデンティティに関するICA声明」において、「共同で所有され民主的に運営される企業体を通じて共通の経済的・社会的・文化的ニーズと願いを満たすために自発的に決同した人々の自発的な組織」と定義される。https://www.ilo.org/tokyo/standards/list-of-recommendations/WCMS_238803/lang--ja/index.htm

[3] 社会的企業は、2015年内閣府委託「我が国における社会的企業の活動規模に関する調査」において、①ビジネスを通じた社会的課題の解決・改善に取り組んでいること②事業の主目的は利益の追求ではなく社会的課題の解決であること③利益は出資や株主への配当ではなく主として事業に再投資すること④利潤のうち出資者・株主に配当される割合が50%以下であること⑤事業収益の合計は収益全体の50%以上であること⑥事業収益のうち公的保険からの収益が50%以下であること⑦事業収益のうち行政からの委託事業割合が50%以下であることを満たす法人、と定義されている。この定義に基づく推計では、営利法人のうち26.4%が、一般社団法人のうち22.8%が、一般財団法人のうち24.5%が、公益社団法人のうち40.5%が、公益財団法人のうち18.8%が、その他非営利法人のうち25.0%が社会的企業に当たるとされている。https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/kigyou-chousa-houkoku.pdf

[4] UNTFSSE (2014) A Position Paper by the United Nations Inter-Agency Task Force on Social and Solidarity Economy (TFSSE) http://unsse.org/wp-content/uploads/2014/08/Position-Paper_TFSSE_Eng1.pdf

[5] UNTFSSE(2018) Knowledge hub working paper “Achieving the Sustainable Development Goals through Social and Solidarity Economy: Incremental versus Transformative Change ”

http://unsse.org/wp-content/uploads/2018/04/WorkingPaper1_PeterUtting.pdf

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次回は、SSEに関するILOの取り組みについて取り上げます!ぜひご覧ください!

 

ILO職員インタビュー第3回(2/2):川上剛 労働安全衛生・労働監督上級専門家

前回は、川上労働監督上級専門家の業務内容や、日本の労働安全衛生について伺いました。

国としての労働安全衛生に関する制度作りや技術協力に関わる一方、労働者・使用者に対して直接の安全衛生トレーニンを実施することもあるそう。そして、「トレーニングの結果として労使が協力して安全衛生を改善した事例に出会ったときが一番嬉しい!」と熱く語ってくださいました。

今回は、そんな川上労働監督上級専門家のキャリアパスについて聞いていきます!

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ILOで働くまで

ILOで働かれる前は産業医学総合研究所、労働科学研究所でお仕事をされていたと伺っております。どのような業務をされていたのでしょうか。

研究所ですから、私も研究を中心にやっていました。産業医学総合研究所はどちらかというと基礎的な研究が多くて、例えば化学物質の有毒性についての動物実験です。労働科学研究所は、いろんな企業・職場から依頼を受けてその現場に入って実際の労働条件の調査をして、それで何が問題になっているかを調べて改善のアドバイスをするという実践的な研究をしていました。政府・経営者・労働者どこからも調査・研究の依頼があったので、ILO的な三者協力について学ぶことができました。ILOから委託を受けて短期のコンサルタントとしていくつかのプロジェクトに関わったりということもありました。

 

―研究だけではなくてかなり実践的なことも前職ではされていたんですね。その中で、今ILOコンサルタントという言葉も出ましたけれど、国際機関へのキャリアチェンジというのはどういう理由があってのことなのでしょうか。

私の頭の中ではキャリアチェンジという感じは全くありませんでした。というのは、私は働く人たちの安全と健康の向上、特にアジアにおけるそれを医師としてライフワークとしてやろうと学生の頃からずっと思っていたんです。働く場は日本の研究所からILOに変わったけど、やってることは自分の頭の中では同じ延長線上にありました。労働科学研究所で日本国内と国外の仕事をいろいろやっているうちに、次のステップとしてアジアの特に現場で働いている人たちの健康改善について現地に根差してじっくりと取り組みたいと思っていました。ILOで労働条件環境局長をしていた小木和孝さんがILOを定年退職された後に労働科学研究所の所長になられたこともあって、私もILOのプロジェクトに関わらせていただく機会があった。そのことで自然とILOとの距離が近くなりました。そんな時ちょうどILOバンコクの安全衛生専門家ポストの空席情報が出て、よい機会だったので応募しました。

 

―今後日本に戻られようというお考えもあるのでしょうか?

私も定年したらまた日本に戻ろうとは思います。ただ今のアジアの仕事はやりがいもあるし様々なニーズがあるので、できるだけ長くいて少しでも解決に向けてがんばれればと思います。

 

読者に向けたアドバイス

ILOを目指す学生や保健医療専攻の方への情報収集に関してアドバイスはありますか?

今はインターネットの時代だから基本的な情報収集はすぐできると思います。まずは、ILOで自分が何をやりたいかを自分ではっきりすることが大事ですよね。ILOに入るというのはそれ自体が目標ではなくて手段だと思います。私の場合、世界の働く人々の健康と安全をよくしたいというライフワークがあって、その中でILOが見えてきたという感じがします。

 

―専門家として働くならこういう資格があった方がよいなど、ありますか?

ILOの場合は、何かの資格がないと職員になれないということはないと思います。求められているのは、専門分野における国内外における豊富な実践経験だと思います。そういう実践の機会を見つけて積極的に参加していく事が大切です。あと労働の現場と政策・国のシステムの双方を見て、結び付けていく視点が大事です。現場で活動していると満足感もあるんだけど、その点や面をどうやって政労使のネットワークと協力してさらに適用範囲を広げていくかという政策視点は大事です。逆に政策だけ紙の上で作ってもそれがうまく実施されるかはわからないので、現場労使主体のボトムアップと両方を組み合わせていく視点が私の場合にはすごく大事だったと思っています。

国連に入るというとまずJPOを通してという方が多いと思うけど、私は40歳になる直前に個別の空席情報に応募して採用されました。それまでは専門家として経験を積みました。私のILOの同僚には同様な経歴の人が多くてJPOからずっといた人はむしろ少ないくらいです。JPOはぜひ目指したらいいと思うんですが、別のアプローチとして30歳半ばくらいまで専門家として国際経験を含めていろんなことをやって、それから P4あるいはP5の空席情報に応募するというのもあると思います。それまでに、何かILOの仕事に、インターン、短期コンサルタント、あるいILOの委員会とか会議に参加するとか、自分の専門の立場からILOの仕事に関わり理解する機会があるとさらによいと思います。

 

ILOの人事担当から空席公募は公募している段階で内部のコネクションですでに決まっていると聞いたのですが。

私の経験ではポストが内部コネクションで決まるというような事は全くなく、選考は公正に行われます。すでにILOの仕事をした経験があって即戦力になると目される人がいる場合はあるかもしれません。そういう場合であってもそれまで知られていなかったILO外部からの優秀な応募者が採用選考でよい評価を得てポストを得るということはよくあります。逆にILOの仕事をした経験があっても成果を出せずにマイナスの印象を持たれて、その後ポストに応募しても難しくなる場合もあるかもしれません。ILOの委員会に関わるとかインターンコンサルタントをやるとかは広い意味での採用テストになっているのかもしれません。ですから機会があったら一生懸命やって、そこですでに評価されていると考えてみるとよいかもしれません。

 

―労働安全衛生の分野には医療系の資格保有者の方以外も関わっていらっしゃるのですか?

工学系の同僚もたくさんいますし、社会科学系でビジネスマネジメントの一環として労働安全衛生の実践経験を持っている同僚もいます。法律家の同僚で労働安全衛生法を専門にしてきたり、あるいは自国の政府で労働基準監督官として労働安全衛生のコンプライアンスを実践したきた同僚もいます。共通しているのは、ILOの労働安全衛生の条約・勧告類の内容と実践応用に精通し、また現場や政策における労働安全衛生活動の実際的な経験です。

 

―保健医療を専攻されている学生は、保健分野ではWHOが最初に思い浮かぶと思うのですが、ILOはどれほど認知度があるのでしょうか?

国際分野で医師・保健専門職として仕事をしたいと思う人はたくさんいます。保健分野の中で、感染症対策とか医療政策・システム作り全般とかはWHO、労働安全衛生はILOに入り広く認知されています。私も労働安全衛生分野でよい先輩たちに出会い導かれて、働く人たちの健康を自分のテーマにしていました。ILO自体を目指すというよりは、労働安全衛生ならILOだなっていうことで来たと思いますね。実際に労働者・経営者と一緒に仕事が出来てすごく現場的にやれることが、私がILOに来てすごくよかったなと思うところですね。

 

―お話ありがとうございました! 

 

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次回は、三宅伸吾 労働法国際労働基準専門家にお話しを伺います!お楽しみに!

ILO職員インタビュー第3回(1/2):川上剛 労働安全衛生・労働監督上級専門家

本企画はILOや国際機関に関心のある方や将来のキャリアとして国際機関を考えておられる方にILOの具体的な姿をイメージしてもらえることを目的としています。職員の方へのインタビューを通してILOでの具体的な業務、やりがいやキャリアパスを皆様にご紹介していきます! 

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過去の記事はコチラ↓

第1回:田口晶子駐日代表

第2回(1/2):田中竜介プログラムオフィサー/渉外・労働基準専門官

第2回(2/2):田中竜介プログラムオフィサー/渉外・労働基準専門官

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第3回目はニューデリー事務所の労働安全衛生・労働監督上級専門家の川上剛さんへのインタビューです!今回も、内容が盛りだくさんのため、2回に分けてお届けします。

 

      

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川上 剛(かわかみ つよし) 

1988年に東京医科歯科大学医学部大学院を卒業。1991年まで労働省産業医学総合研究所(現・独立行政法人労働者安全機構労働安全衛生総合研究所)、2000年まで労働科学研究所(現・公益財団法人大原記念労働科学研究所)で勤務しながら日本およびアジア各国の労働現場における安全衛生調査やトレーニング活動に従事。日本をベースにした13年のキャリアを経て2000年からILOアジア太平洋総局(バンコク)に勤務。その後ジュネーブ本部を経験し、2017年7月よりインド、ニューデリーの南アジアディーセントワーク技術支援チームで労働安全衛生・労働監督上級専門家として勤務。

 

労働安全衛生・労働監督上級専門家の仕事

―現在の業務について教えていただけますか。

南アジアの7か国(インド、バングラデシュ、ネパール、パキスタンアフガニスタンスリランカモルジブ)において、政労使を支援して国としての労働安全衛生に関する制度作り、政策や法体系を強化する技術協力の仕事をしています。もう一つは、労働の現場に行って労働者・使用者に対して直接の安全衛生トレーニングを実施することです。例えば南アジアでは、スリランカにおける紅茶のプランテーション、インドやネパールにおける様々な家内労働職場、パキスタンにおける繊維産業とか、それぞれの国や地域で重要な産業について取り組んでいます。それ以外にも調査をしたり、新しいプロジェクトを計画したり報告書をまとめたりということをやっています。

 

―上級専門家という役職ですが、現場に行くと同時に管理の仕事もされるのですか?

担当するプロジェクトや活動において、新しい人を雇うとか活動や予算計画を作り管理するとかをします。代表が不在のときは代理で所属するオフィス全体のマネジメントを一時的に担当します。管理職的な仕事はILOに20年もいるのでいろいろ回ってきます。

 

―担当の7か国にもオフィスがあるのですか?

ニューデリー以外に、ILO事務所がパキスタンイスラマバード)、ネパール(カトマンズ)、バングラデシュダッカ)、スリランカコロンボ)、アフガニスタン(カブール)にあります。

 

ニューデリー事務所は何人くらいの規模ですか?

プロジェクトにより変動しますが80人ほどの規模です。私以外にも国際専門家にはいろいろな労働分野の人がいます。第1に法律関係では、国際労働法、児童労働・強制労働撲滅、第2に雇用関係では、職業能力開発、雇用政策、企業開発専門家がいます。3番目は私のいる社会的保護分野で、労働安全衛生、労働行政、社会保障の専門家がいます。4番目は労使関係。労使関係、労働者活動、経営者活動の専門家がいます。それ以外に領域を横断してジェンダーと労働統計の専門家がいます。また、サプライチェーン、児童労働等の多数のプロジェクトがありそれぞれに担当スタッフがいます。

 

ジュネーブ本部とタイやインドの現地オフィスはどのような違いがあるのでしょう?

実際の業務内容はすごく違います。現地オフィスでは技術協力が中心です。各国の政策・法律作りへのアドバイス、行政官・監督官のキャパシティビルディング、労使へのトレーニング、および情報収集・調査等です。ジュネーブ本部では、業務の中心は国際労働基準策定や採択された基準の普及活動やモニタリングです。基準作成では素案を作り、政労使が会議を開いて議論し採択するという一連のプロセスを、事務局としてサポートします。それから、本部にいても技術協力の機会はあります。私もジュネーブから、パレスチナやあるいはアジア・アフリカのプロジェクトの手伝いに行ったことがあります。ただ、技術協力はフィールドオフィスがやるのがメインなので平均すると仕事の3分の1くらいでしょうか。

 

―特定のプロジェクトで印象的だったものはありますか。

最近関わっているものでは、サプライチェーン関連のプロジェクトですね。ものを作るすべての過程、つまり原料生産、製造・加工、パッケージング、運搬等を一体で捉えて、ディーセントワーク向上を目指します。例えば、パキスタンの繊維製品はEUを中心に世界中に輸出されています。EUの消費者からすると劣悪で危険な労働条件やあるいは児童労働のある職場で作られたものは買いたくないと考えるので、状況を改善し国際労働基準を満たす職場づくりのためのプロジェクトを実施しています。パキスタンにあるいろんな繊維工場を直接訪ねて工場の中で労使の代表に20~30人集まってもらいトレーニングをします。労使で工場の中を歩いて回っていっしょに改善点を見つけてるという風に実践的にやっています。なぜ直接工場で実施するかというと、その方が労使双方が参加しやすいからです。労働者は今残念ながら長期雇用の人が少なくなっていて賃金日払いの人が多いから、トレーニングに参加するには仕事を休む必要がありその分収入がなくなります。

この方式で一日に2つの工場に行きます。午前1社、午後1社と。1週間だと10箇所まわれる。地元のパキスタン人のトレーナーを養成して、私がいなくてもトレーニングできるようにしています。1年後に同じ工場をフォローアップで見に行くと改善事例がいろいろあります。レーニングの結果として労使が協力して安全衛生を改善した事例に出会うのが一番うれしい時です。

 

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インフォーマル経済へのアプローチ

―インフォーマル経済職場に対してはどのようなアプローチをしているのですか。

例えば、家内労働者の労働改善を目的として、インド・ネパールでILO Japanプログラムの資金援助を受けたプロジェクトがあります。家内労働者が作ったものは世界に輸出されています。例えばネパールの家内労働者が製造した金属性の仏像が中国や日本等に輸出されています。インドの家内労働職場では、金属性のクリスマス飾り、シャンパンの入れ物、ワイングラスとかを作ってヨーロッパに輸出したりしていました。サプライチェーンの一番底辺で働いている家内労働者と協力体制を作って、トレーニング・労働改善活動をするにはいろいろな人たちとの共同作業があります。ここでILO三者構成主義が生かされます。インドでは、家内労働者を組合化しようとかフォーマル化しようとか努力している労働組合がありよい共同作業ができました。ネパールでは家内労働者の生産物を買い上げている経営者団体と協力して健全なビジネスへのサポートという形で活動できました。

 

―家内労働者の間に横のつながりがあるということなのですね。

はい、あります。でもそうした労働者同士の横のつながりをディーセントワーク達成のために強化していく支援が必要です。組合を作って一緒に出荷しようとか、購入者と値段を交渉しようとか、そういう動きはまだ弱い。その家内労働者たちは貧しいままで、言われた通りの安い値段でしか売れないわけです。こういう家内労働者同士の協力体制づくりの視点もプロジェクトに含めています。

 

労働組合NGOはどういうサポートをする団体が関わっているのですか?

家内労働者を組織化して、より有利に生産物を販売し収入増加につなげたり生産性をあげたりすることを応援する場合が多いですね。安全衛生は入っていなかったりするのでILOとよい補完関係になるわけです。実際の作業現場には危険が多くて、例えば金属製品を作るときに材料の金属を炉で溶かすわけですね。熱傷や、発生する粉塵による呼吸器系への傷害等の危険があります。労使・NGOILOが協力して、そのネットワークを通してより多くの家内労働者にアプローチできるというよい連携ができます。

 

―JICAのような二国間援助機関も労働環境の改善には取り組んでいますよね。ILOとそういった機関との違いは何ですか?

私も前職の労働科学研究所産業医学総合研究所にいたときに、専門家としてJICAのプロジェクトに参加したことがあります。JICAは二国間協力を実施するのが基本ですから(若干そうじゃない場合もあるけれど)、基本は日本人の専門家を派遣して日本の技術を移転します。日本の産業保健・労働安全衛生の法律・システムはこうなっているとか、実際の進め方はこうなっているのでこういうのはどうですか、と国にプレゼンしたり技術協力したり、必要な機材を供与したり、オペレーションのための日本人専門家を派遣するわけですよね。

 

一方で、ILOはその国際労働基準を参照しながら、その実施のために何をするかというのが基本的な考え方になります。労働安全衛生のようにハードな技術的専門分野であっても常に政労使を中心において活動します。技術専門家の役割はもちろん重要ですが、その前にます労使が主体となって実施する安全衛生リスク改善活動支援に焦点を当てます。それとILOの場合は政策作りにも強くコミットしています。JICAも政策提言しますが、国際労働基準に基づいた政策助言はILOの特色だと思います。

 

―プロジェクトの内容は現場で一から作り上げているのですね。

プロジェクト計画文書に沿ってですが、実際のトレーニング内容の中身等は、現地政労使と協力して国際労働基準を参照しながら作ります。

 

日本の労働安全衛生の優れている点/改善すべき点

―日本の労働安全衛生は世界的に優れていると聞いたことがあります。実際国際的にみてどうでしょうか。

日本の安全衛生システムは優れている点もあれば、もっとグローバルな進展から学ばなければいけない点もあると思っています。日本の優れている点は、現場がきちんとしていることです。例えば、労働安全衛生法で定められているように、労働安全衛生委員会が職場に設置されていて安全衛生管理者がいて、労働者や経営者が集まって毎月会議をして職場の具体的な安全衛生リスクとその改善について話し合って次々と手を打っている。そういう現場の実践活動が日本は優れていると思います。

ILOで働いていて、日本の労働安全衛生の改善すべき点と思うところは、現場の安全衛生リスクを同定し軽減していくという本来の活動にさらに軸足を置くべきということです。それから、日本の労働安全衛生体系では、基本は雇用労働者が対象で、自営業者とか自営農家等はカバーされていません。EUとかイギリス、アジアではシンガポールとかマレーシアとか、世界の傾向としては自営業者あるいは自営農家も含めた包括的な労働安全衛生体制を作っている国が増えています。日本もすべての働く人々を業種や雇用形態に関わらず一律に支援する労働安全衛生の枠組みができればよいなと思います。

 

EUとかシンガポールでは自営業者の方に対する規制・ルールはどうやって現場の人に守られているのですか?

まずはそういうルールができたことを自営業者に周知することが大事ですよね。イギリスやシンガポールではホームページを見ると、自営業者向けにこういうことをしてくださいとか、そのための分かりやすいトレーニングツールとかが載っています。労働基準監督官は、たくさんある自営業者をすべて一軒一軒は訪問できないようですが、もし事故が起こった場合には現場に行きます。自営農業でも同じで、イギリス人の友達で監督官をしている人に聞いたら、確かに自営農家はあちこち散らばっていて、監督官は一軒一軒現場には行けない。でもやっぱり、情報提供と事故が起こった後の調査はすると言ってました。監督官の責任範囲であるわけですね。

 

技能実習生などを受け入れる農家は安全に気を付けているという話を聞きますが、人を雇っていない農家は、いちいち安全ルールについて気にせずに感覚でやられているのではないかと思います。ツールなどで啓蒙することで意識が高まるということでしょうか。

その通りですね。それと関連して、基本的に自営農家は労働安全衛生法の適用対象になっていませんが、それでも行政や専門機関からのサポートは大事です。

 

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次回は、川上労働監督上級専門家のキャリアパスについて掘り下げています。

 

ぜひご覧ください!